日本臨床発達心理士会滋賀支部

このブログは、日本臨床発達心理士会滋賀支部会員相互、
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重症心身障害児(者)を、ご存知ですか?
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    独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院

    療育指導室 児童指導員 丸澤由美子

     

    重症心身障害児(者)と呼ばれる人々があります。どんな人たちで

    しょうか。 「突然聞かれても、ピンとこないなぁ〜」という方が多いと思います。

     

    なんとなく知っている方でも、「寝たきりで話ができない」「近寄りがたい」

    「奇声を発していて怖い」…というイメージを持っている方が多いので

    はないでしょうか。

     

    そんなイメージを持たれてしまいがちな「重症心身障害児(者)」です

    が、この方々も皆さんと一緒です! 自分の気持ちが伝わらなくて困った

    り、悩んだりもします。みんなと一緒に楽しいことをしたいとも思っていま

    す。余暇時間を充実させたいとも思っています。そして…、もちろん「みん

    なの役にだって立ちたい!」と思っています。

     

    重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態にある子どもを

    重症心身障害児、成人を重症心身障害者といい、子どもと成人を含めて

    重症心身障害児(者)と呼びます。これは、医学的診断名ではなく、福祉

    制度上の呼び方です。そのような彼らの気持ちが伝えられる機会はほと

    んどありません。

     

    そのため、この方々の日常のひとコマをお知らせしてい

    く中で、この方々が「今」をイキイキと生きており、日々いろいろな取り組

    みを頑張っている…ということをお伝えしたいと思います。

     

    私が以前勤務していた独立行政法人国立病院機構三重病院は、伊勢

    平野のほぼ中心部で海と山に囲まれた、のどかな場所にあります。この

    病院にはいくつか病棟があり、その中の1つに、「重症心身障害児(者

    )病棟」があり、療育指導室のスタッフ(児童指導員・保育士)は、その患者

    さんと「一緒に楽しいことをしたい!」との思いで、毎日さまざまな取り組

    みや行事を企画・立案しています。音楽活動、ムーブメント、スヌーズレ

    ン、散歩、制作等を中心とした療育活動、お楽しみ行事(演奏会等)、お

    まつり、オリエンテーリング、映画会、クリスマス会等の行事を患者さん

    全員対象に行っています。

     

    その中でも「制作活動」は、患者さんが毎月張り切って取り組む活動の

    1つです。「どんな感じがいい?」「このくらいの大きさにする?」「この色

    がいいんじゃない?」などと語らいながら、患者さんとスタッフが一緒に

    作成し、完成した作品を、外来棟から重症心身障害児(者)病棟への渡り

    廊下に展示しています。

     

    他の病棟の患者さんに親しんでもらえるよう、重症心身障害児(者)

    病棟の愛称である「やまばと」をとって、「やまばとギャラリー」と命名しま

    した。この展示場は、患者さんの療養生活に季節感をもたらし、スタッフ

    とのコミュニケーションを深め、自分の作った作品を他の方々に見てもら

    える喜びを感じることを目的に始めました。

     

    「かわいい!」「廊下の雰囲気が明るくなった♪」「毎月、ここを通るのが

    楽しみ」との感想を聞き、作品づくりに携わった患者さんも嬉しそうにして

    います。実際に患者さんたちも作品を見に行くのですが、自分が作った

    作品には、思わず手が伸びたり、スタッフの顔と作品を交互に見てアピ

    ールしたり…と、とっても楽しそうです。自分の作った作品を見に散歩に

    行ったときに、他の病棟に入院されている患者さんが「あなたたちが作っ

    ているの?素敵ね〜。私はリハビリでここ(渡り廊下)を歩くのだけど、ど

    れも素敵でリハビリも苦痛じゃないの。友人にも「見においで!」と声をか

    けたのよ」と声をかけて下さり、患者さんはおおはしゃぎ!! というような

    こともありました。次の作品の意欲にもつながりました♪

     

    作品づくりの際はエコを心がけています。新しいものを使用するのでは

    なく、ペットボトル、新聞紙、包装紙、紙袋、段ボール等をリサイクルして

    作品にしています。リサイクル物品にも関わらず、患者さんが気持ちを込

    めて取り組むと、とっても“味”のある作品になり、世界で1つだけのプレミ

    アな仕上りになります。

     

    「やまばとギャラリー」の作品展示によって、制作活動に目覚めた患者

    さんたちは、さらなる創作意欲が湧き、たくさんの芸術品が続々と仕上が

    っていきます。この作品たちを病棟のみに展示するのはもったいな

    い!!…ということで、外来棟出入り口付近に「個展」と称し、作品展示

    を拡大しました。初回は「ふたり展」として、2人の患者さんの作品展示を

    行いました。新聞紙を細く裂いて作ったこよりの作品、油絵具で自分の

    気持ちを表現した作品です。とても個性豊かな作品に仕上がりました。2

    回目は、モネもビックリ!な点描画風で描いた作品展示でした。「今日は

    ○○描く!」「何色で描きたい」等、患者さんは毎日熱心に取り組んでい

    ます。患者さんの気持ちがこもった作品は、どれも斬新で個性的な作品

    に仕上がりました。

     

    次の個展をスタッフが検討している間、個展お休み期間がありました。

    しかし、画家(患者さん)の皆さんから「作品がたまってきたよ〜!!」「そ

    ろそろやな!」と展示を楽しみに待つ声がたくさんあったので、早急に個

    展を開催することになりました。患者さんは取り組む楽しさいっぱいで、

    「○○描いたよ」「今日も(絵を)描く!!」と、毎日とっても張り切って描い

    ています。

     

    「やまばとギャラリー」や「個展」は、定期的に作品が変わるので、その

    ことをさまざまな方に知っていただく機会になればと、病院が発行してい

    る「ニュースレター」に紹介コーナーが設けて頂きました。「毎月楽しみ!」

    との感想もいただき、患者さんの作品作りにも力が入ります。

    個性豊かで、気持ちが“ほっこり”して頂ける作品たちがみなさんをお待

    ちしています。ぜひ三重県にお越しの際は、「やまばとギャラリー」と「個

    展」へお立ち寄りください。その際、芸術家たち(患者さんたち)を見かけ

    ましたら、直接感想などお伝えいただければ嬉しいです。

     

    このほかにも、病棟内の事件?!(物品がなくなった!…のではなく、

    単なる置き忘れなのですが…)を毎回解決してくれる探偵(患者)さんが

    いたり、スタッフや他患者さんの様子をよく観察し、「大丈夫か?」「元気か

    ?」「頑張れ!」といつも声をかけたりしてくれる患者さん等、本当にさ

    まざまな患者さんがいます。「障害」はあっても、みんな一緒です。人の

    役に立ちたいと思って、それぞれの方法で行動をしてくれています。その

    行動に時に私は励まされ、時に勇気づけられます。彼らの「今」を一

    緒に共有できる機会が当たり前にできる日がくることを願い、療育指導

    室のスタッフは日々さまざまな取り組みにチャレンジしています。これか

    らも、彼らの行動には乞ご期待?!

     

    丸澤由美子(2015)みんな芸術家!!―重症心身障がい児(者)病棟

    の患者さんを中心とした作品展。NHOだより、No138.20−21.

     

     

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