日本臨床発達心理士会滋賀支部

このブログは、日本臨床発達心理士会滋賀支部会員相互、
地域の皆さんとの交流をめざしています。
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原初的な体験と心の癒し
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    武藤百合(臨床発達心理士・臨床心理士)

     

    「おう、かわいいなあ!ほんまに、よう元気に生まれてきたなあ!」―父が孫である私の娘を抱いてくれた事は、娘の人生でほんの数回ほどしかありません。この絵は、その最初で最後ともいえる瞬間を描いたものです。ある事情があり、私が娘を身ごもり、無事に出産できる確率は、医学的に決して高くはありませんでした。娘が誕生した時、父はすぐに病院に駆け付け、生後3日目の孫を抱き、こぼれるような笑顔を見せてくれました。そしてその一年と数か月後、父は癌で亡くなりました。一歳を過ぎた娘が二本の足でヨチヨチ歩けるようになった姿を見届け、「もう歩けるんか!早いなあ!この子は将来、人気者になるぞ!」と嬉しそうに微笑み、その数時間後、息を引き取りました。

     

     父が亡くなった当時、娘は一歳を越えたばかりでした。父に抱かれた記憶も、温かな言葉をかけてもらった記憶も残らないでしょう。絵の中の娘の目はまだ開いてもおらず、言葉も発することができません。私は、娘が「じいじ」に抱っこされた数少ない瞬間を描いておこうと思い立ちました。成長してこの絵を見た娘が、小さな赤ちゃんに微笑みかけ、しっかりと抱っこする父の姿に「じいじは私の誕生をこんなにも喜んでくれたのだ」という思いを抱いてくれれば、その思いはきっと、娘が自分の人生を力強く生きていく力になるのではないかと思います。

     

     私はヴォーリズ学園こころセンター(カウンセリングセンター)で、思春期の子どもたちをケアする仕事をしています。長年臨床心理士として医療現場や教育現場等で活動してきましたが、その中で、不登校や心の病などでつまづきを感じる子どもたちの回復力は、やはり人と人との関係性にあり、特に自分の「存在」を他者(異世代や同世代の他者)からまるごと受け入れられた経験は、非常に大切なのではないかと考えるようになりました。クライエントさんが回復する力は、クライエントさん自身の中にあり、特に、「愛された記憶」(無条件に愛された記憶)があるクライエントさんは、回復する力が強いと感じています。人生のどこかで、誰かから「あなたが存在してくれているだけで良い」「あなたがそこにいてくれるだけで私は嬉しい」というメッセージを送ってもらえた経験をもつ人は、回復する力を取り戻し、自分の歩く道を見つけていく事ができると思われてならないのです。実際、そのようなケースに何度も何度も出会ってきました。

     

     すべての事がめまぐるしく変化する世の中で、私は、こうした素朴な、世代の異なる者(あるいは同じ者)同士の繋がりや触れ合いが、人の心の回復にとても大切な事であると考えながら、臨床活動を続けて参りました。臨床発達心理士の資格を取得し、活動を始めてからは、世代間の繋がりや、「関係性」を重視したサポートに更に深い興味を抱くようになりました。日本臨床発達心理士会滋賀支部はとてもアットホームな温かい雰囲気で、私自身これからも末永く関わらせていただきたいと、心から願っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

     

    | - | 05:47 | comments(1) | - | ↑PAGE TOP
    コメント
    武藤百合様

    懐かしい文通相手を探すうちにこちらのサイトへ行きつきました。
    暖かい文章と心温まる絵に心が和らいでいくようです。
    唐突で大変恐縮ですが、もしも20年余り前に文通していた沖縄出身の玉木という名前に心当たりがありましたら、ご連絡いただけませんか?
    同姓同名の方でしたらご無礼をお許しください。
    武藤百合様、あなたのお幸せをお祈りしています。
    | タマキナオコ | 2019/08/07 12:39 PM |
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