日本臨床発達心理士会滋賀支部

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発達相談の仕事に人生の大半の年月を重ねて
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    平野美香

    大津市子ども発達相談センター 発達相談員

                                       

     

     大津市の発達相談員として採用され、それ以前の職場での相談業務の年月を加算すると、すでに人生の大半を相談業務に費やしてきたことに今更ながら驚いています。心理専門職を、市職員として採用している地方自治体は、当時、珍しいものでしたし、さらに、早い時期から、「大津方式」として乳幼児健診の体制が充実し、早期対応のシステムが確立している自治体で、右も左もわからず、はたして十分な仕事ができるのかと、混乱と不安の日々であったことを懐かしく思い出します。

    それでも、同じ発達相談員だけではなく、保健師、小児科医、歯科衛生士、栄養士など、多職種との仕事が保障されていた職場であったことで、互いに、話し合い、連携しながら、独りよがりにならないように、子どもの発達を多面的にとらえ、親子をしっかりと支援していくための基礎を叩き込まれながら学ぶことができたと思います。また、乳幼児健診のみではなく、保健師さんとともに、時には家庭訪問で、また、園では、先生方も一緒に発達相談を繰り返し、「大津の子」を支える人たちとの協同の仕事によるさまざまな学び(失敗も後悔も含め)が、「発達相談のおもしろさ、奥深さ」として着実に手応えのあるものとなっていくことを感じたものです。

     

     子どもが幼いうちには、発達相談を喜んで受け入れる保護者が多いわけではありませんし、不安にさせるだけで、よけいなおせっかい、とも言われかねません。特に、健診後の相談で、発達の課題をお伝えしなければならない時は、ずいぶんしんどい思いもしましたし、この仕事に意味があるのか、自分は、本当にこんな仕事をしたかったのか、と思うことは幾度となくありました。

     それでも、お母さん達に、あの時、相談できてよかった、お世話になりました、と言ってもらえたり、相談を担当した子ども達に出会う機会があると、親子に教えられ、支えられて、仕事が続けられるのだ、この出会いに意味があるのだ、と思い返し、また、がんばろう、と仕事に向かうことの繰り返しで、気づけば、何年も過ぎていきました。

     

     市の保健センターから、療育教室、子育て総合支援センター等を経て、現在は、幼児から中学生までの相談に応じる子ども発達相談センターで仕事をしていますが、非常に幸運なことに、自治体職員の心理職であるため、長く働くことで、幼児期に相談をしていた親子に、再度、発達相談で会えるというすばらしい機会を得ることができています。

     

     幼児期は、保護者さんとの相談が中心でしたが、中学生ともなると、自分自身のことを、彼らなりに自分の言葉で語り、相談することができるようになっています。あの時、あんなに小さかったのに、走り回っていたのに、ろくにおしゃべりもしなかったのに…。背丈も大きくなって私の前に再来し、将来の不安や、生きにくさについてトツトツと語り、また、時折、非常に前向きで、奥深いことをポロリと話し、こちらの気持ちを強く動かします。若い発達のエネルギーにより、思いを共有することだけで、あっという間に成長していくことにも関心しますが、彼らが、誰よりも、人との親密な関係を求めていること、わかってもらいたいと強く願っていることがひしひしと伝わってきて、心の育ちの深まりに感銘を受けてしまいます。

     

     過去、言葉の遅れ、多動傾向、コミュニケーションの課題などと、情けないほどに、通りいっぺんの評価をしてしまっていた子らが、リアルに、それぞれの個性を持ってぶつかってくる姿に、たじたじとしてしまいますが、そこには、浅薄な発達の理屈や評価などを越えた本当の人間関係が存在しています。そう思わせるくらいの育ちを見せてくれたことに驚き、かつ、その成長した姿から、あらためて、子どもを信頼するべきであることを彼ら自身が身をもって教えてくれることに感謝する日々です。

     

     発達相談という場は、すべての親子が通るものではありませんし、それだけで、何かが大きく変わるものでもありません。そもそも、子どもを育む家族、園や学校の先生方などが彼らの育ちを直接的に支えているのですから。そんな中で、出会った保護者さんや子ども達にとって、少しでも、意味のある相談をしたいと願い続けていますが、やはり、最終的には、子どもの育つ力にかなうものはありません。また、保護者さんは、子育てに悩み、苦労しながらも、それぞれのやり方で子どもに向き合ながら、親子として、家族として、新しい段階に進んでいくことができるということも知ることができました。

     

     時を重ねて思うことは、出会った親子の将来を信じることが、相談のスタートであり、ゴールでもある、ということです。若い心理士の皆さんも、それぞれの相談の場で、四苦八苦、紆余曲折を繰り返しながら、かけがえのない発達相談の時間を積み重ねて欲しいと願っています。

     

     

     

     

     

     

     

    | 会員エッセイ | 06:00 | comments(0) | - | ↑PAGE TOP
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